03. たすけてお前がだいすきです <後編>
「んっ…ん、」
唇を割って潜り込んできた栄口の舌が、三橋の口腔内で動いた。
クチ、
と湿った音を立てて中を掻き回される。
「うく、」
どちらのものともいえない唾液が、唇の端から滴り落ちそうになって
三橋はあわてて飲み下そうとする。
でも栄口は一向に気にしていなかった。
三橋の唾液を、わざわざ舌先で味わって喜んでいるみたいだ。
レロ、
と栄口の舌がとても優しく執拗に動くので、
「ひ、…っん」
三橋の心は許容量を超えて頭はパンクしそうだった。 体は沸騰しているようだった。
んく、 と三橋は堪えきれずに唾液を飲み込んだ。
細い喉が慄きながら、コキュ、と嚥下する。
チュク、と唇に吸い付きながら栄口がゆっくりと舌を抜いた。
三橋は、コクンともう一度嚥下を繰り返した。
「あ… 飲んじゃ、…た」
口の端を濡らしながら朦朧とした頭の中でたった今考えたことを、三橋は舌足らずな口調で呟いた。
(………それはふつう、今言うセリフじゃない)
容赦ない刺激が下肢を直撃したので、
栄口は思わず心の声で、我ながらよくわからないツッコミをした。
飲みきれなかった唾液を口の端から垂らす三橋は、無意識にペロリとそれを自分の舌で舐め取った。
目の当たりにした栄口の心臓はさらに鷲掴みにされる。
意識の底で、
なけなしの理性の尾があっけなくブチンと切れる音がした。
「ん、あっ?」
秋仕様に衣替えしたばかりの、
長袖シャツにニットのベストを重ねるという三橋の服装。
栄口は、ベストをグイッと三橋の胸よりも高い位置までたくしあげた。
薄い布地のシャツ越しに
荒い呼吸を繰り返す三橋の胸が不安げに上下している。
野球で鍛えているとはいえ筋肉が薄く胸板を覆っているだけで、三橋の体はまだまだ幼さが抜けきらない。
「三橋っ…が…そういう…するからだ」
栄口の指は、さらさらと三橋の胸の上を這った。
「ん…? …っ、あっ、ふ、ふは、」
服の上から撫でるように胸に触れてくる、栄口の手がくすぐったかった。
しかし三橋が笑っていられたときは
ほんの僅かな間で。
「っい、あっ!?」
栄口の親指が三橋の胸の突起を押しつぶすように擦ると、
ツキン、
と痛みに似た痺れが走った。
三橋は思わず仰け反り短い悲鳴を上げる。
栄口の指が三橋の制服のボタンをてきぱきと外していった。
シャツの合わせ目からスルリと中に指を滑り込ませて、
直に胸のいちばん敏感な部分を、 指先で、じかに優しく引っ掻いた。
「う、あ、さかえぐち、くんっ」
羞恥で顔を真っ赤に染めて三橋は逃げようとした。
するとすかさず両手を床に押し付けるようにして覆いかぶさられて自由を奪われた。
栄口は両手が塞がっていたので、
今度は薄っぺらいシャツの布越しからもわかるくらいに勃っている、三橋の胸の突起に舌を這わせた。
「〜〜〜っつ、んん、あっ あっ」
熱くて唾液で湿った舌で転がされたり、
チュク、と音を立てながら吸われた。
ちょうど三橋の胸の突起が位置するシャツの部分が、栄口の唾液に濡れて布が透ける。
しかも優しく歯を立てられた。
「んん、う、あっ」
カリ、と甘噛みされたのは胸なのに、下半身がズキズキとする。
キツそうな三橋のソコに気がついた栄口は、ためらいもなく三橋のズボンのチャックを下ろした。
「な、に…、 す…の? っあ!」
不安げな問いは応えてくれずに、下着を少しだけ下ろされた。
栄口はその隙間から中に右手を差し入れて震えながら熱を持つ三橋のモノを取り出した。
「ひっ、ん、い、いや、だ!」
激しく動揺した三橋はジタバタと暴れそうになったが、
栄口の指が下肢の敏感なモノに愛撫をはじめると、
まったく抵抗できなくなるくらい、身体が熱くなって震えるほどの経験のない気持ちよさが三橋を襲った。
「やっ、あっあっ…触っらな、でっ」
「まさかだけど…え、したことない…とか?」
「ひ、」
栄口にやんわりと握り込まれた三橋のソコは、可哀想なくらい赤くなり勃ちあがっていた。
栄口は満足げに口元をほころばせながら、
三橋が恥ずかしさで混乱するくらい、わざとじっくりと観察して見つめた。
動かす手は止めない。
「そ…んな…と、こ…な、なんで…? ヤ、ヤダ…」
実年齢に比べて心身ともに幼いところのある三橋は、自分の体の変化の意味に戸惑っていた。
風呂やトイレでならともかく、三橋にとっては自分でもさして手を伸ばさない場所だった。
ただ、 なんだか悪いことをしてそれが見つかったときのような、
恥ずかしくて切ない気持になった。
激しくうろたえた不安そうな顔の三橋に、栄口は首をかしげた。
「そっ…か…ひとりであんまりしない? こういうの。ま、俺は嬉しいけどね」
「?? …っん、んっ、ああっ」
優しい声だ。
でも、 あらがう余地のない仕草で、 栄口の手は三橋の敏感になった部分をユルユルと擦り続けた。
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