75.ダウトコール 05-1 






 


アケスケな秘め事
ヒモジイ満腹感
キレイな嫉妬心
オオゲサな囁き




矛盾だらけのボクとさ、キミとさ、
二人は悲しいくらい遠いけれど、繋だ手だけハナサナイ ヨ
























カランカラン 

頭の中で、警鐘が鳴り止まない。 
軽い眩暈を覚えて、阿部は乱暴にこめかみを押さえた。






「ま、あと一時間でどうすればみんなを捕まえられるか、とにかく考えようか?」
西広の、落ち着いたもっともなひと言を合図に、低調気味だった探偵チームの士気が上がった。

「ご、ごめん。考え事してて。うん、考えよう」 
「…悪い、西広、泉。俺もボーっとしてた」
「さっきまで…ん? なんで三橋いなくなってんだ?」


((((誰の所為だ!! 誰の!!!))))


反省の意を示す栄口、花井とは対照的にどこまでもマイペースな阿部に、
ほか四名の心の総ツッコミがはいる。
捕手としての裁量と分析力、信念と心配りには野球部全員が恐れ入るが…ほんっと、この男ってば!!


ゆら…り…
泉が陽炎のように殺気を放ちだしたので、慌てて栄口がフォローする。

「俺がうっかりしててさ!! 三橋と巣山が一緒に逃げるの気づいたのに止められなかったし!」
「うっかりっつーか…あれは違うだろお前が三橋に、」
「ううわーっ!! あべーっ!!!」

責任を感じて庇おうとする栄口に構わず爆弾を投下寸前の阿部。
ゆでダコみたいに真っ赤な顔で阿部の言葉を必死にさえぎる栄口。
泉の怒気はますます膨張する。
花井の頬は蒼ざめて強張る。



「みんな聞いて。………俺に作戦があるから」
これ以上このネタを引きずったら、流血沙汰。 血が苦手な西広の判断は迅速かつ賢明だった。












 



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