75.ダウトコール 04-1 |
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「うお〜い、 巣山ァ! 三橋ィ!」
一時間経ったらいったん集まろう。
ゲームが始まる前にそう提案していたのは巣山だった。
誰かひとりくらいは探偵チームに捕まったかもしれない、と懸念していた田島は
待ち合わせ場所に現れた巣山と三橋に笑顔で腕を振った。
「さすが田島、逃げ延びてたな」 巣山がほっとした面持ちで笑った。
ぐるりとあたりを見渡して、
「水谷と沖は?」 今ここに姿を見せていない残りのチームメイトを心配する。
「こっち、こっち」
避難集合場所に選んだ古い材木小屋(にみえる)の奥から、水谷が顔をひょいとのぞかせた。
「沖はさー、来てないんだよね。捕まったのかな?」 キョロキョロと田島が視線を回すが、沖の気配はない。
「さっき俺が三橋を助けに行ったときには、いなかったぞ」 巣山は首を傾げた。
「お…おれっ、牢屋エリアにずっといたっ… でもっ、 沖くん、いなかった、よ〜」 三橋も、沖に会った記憶はない。
「あれ、三橋捕まっちゃったのか〜!?」 なぜか嬉しそうな水谷。
ひとまず沖の出現を待ちながら、
残りの一時間でいかに過半数逃げ延びられるか作戦を練ることにする。
「前半一時間とはわけが違うぞ。相手も本気を出してくる。」 渋い声で呟く巣山は、盗人チームのリーダーだ。
「俺が囮になる! 俺は捕まらないよ、ゲンミツに!!」 にいっ、 太陽のように笑う田島は頼もしい。
「田島だけ残ってもこっちの負けだからな…ひとりひとり隠れとく?」
しかし水谷の順当な案は、スパッと巣山に一刀両断された。
「そりゃ危ないな。なにせむこうには 国士無双の『ブレーン』 が…いる。」
「わすれてたあ…」 ゾゾ、 と背筋を冷たくしながら水谷はうなだれた。
諸葛孔明のような異名を持つ、
西浦最強にして、脅威の 『ブレーン』……とは?
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