75.ダウトコール 01-3
今冷静になって思い起こすと、 自分はなぜあんなことをしてしまったのか。 木にもたれかかったたまま、 花井はたったひとりで苦悩と自己嫌悪にあえいでいた。 三橋の姿はもうない。 あのあとすぐに栄口が駆けつけてこなかったら、 あのまま二人っきりだったら。 (俺は三橋をどうしていた?) 「何でもないよ」 と 心配する栄口の前で、 下手な作り笑いをしていた三橋の顔が目に焼きついていた。 ・・・ああ。 酷い。 目の前で 震えながら泣き続けていた三橋に。 そのくせ強情に、自分に食い下がる三橋が 苛立って、 可愛くて、 仕方がなかった。 (75.ダウトコール 01 終)
こちらは 『ダウトコール』 というシリーズです。 完結方式でミハ受け小説の連作短編を、気まぐれ更新いたします。 第1話はハナミハでした。 読んでくださってありがとうございました。 柑橘系へ戻る< 小説へ戻る< 第2話へ